## プラトンの「饗宴」の思想的背景
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古代ギリシャにおける饗宴
「饗宴」は古代ギリシャ語で「シュンポシオン」といい、男性のみが参加する社交的な会合でした。単なる飲食の場ではなく、政治、哲学、芸術など多岐にわたるテーマについて議論を交わす知的サロンとしての側面を持っていました。参加者は横になって食事をしながら、音楽や踊りを楽しみ、詩の朗読や哲学的な対話を繰り広げました。
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エロースの概念
古代ギリシャにおいて、エロースは単なる性愛や恋愛感情を超えた、重要な概念でした。美や善への憧憬、知識への渇望、魂の向上心など、あらゆる種類の「愛」を包含していました。エロースは、人間を高みへと導く力強い衝動であり、哲学や芸術の源泉ともみなされていました。
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ソクラテスとソクラテス的対話
「饗宴」は、プラトンの師であるソクラテスが中心人物として描かれています。ソクラテスは、問答を通して相手の無知を暴き出し、真の知識へと導こうとする独特の対話方法を用いていました。この「ソクラテス的対話」は、プラトンの著作全体を通して重要な役割を果たしており、「饗宴」においても、登場人物たちのエロースに関する議論を深めていくための手法として用いられています。