Skip to content Skip to footer

ブローデルの地中海の感性

## ブローデルの地中海の感性

###

ブローデルと地中海

フェルナン・ブローデルは、20世紀を代表する歴史家の一人であり、その代表作として知られるのが『地中海』です。このmonumentalな作品は、従来の歴史書とは一線を画し、地中海という空間を舞台に、そこに暮らす人々の生活、文化、経済、政治などを、長期的な視点から描き出しました。

###

「感性」という視点

ブローデルの歴史叙述において特徴的なのは、「感性」を重視する点にあります。彼は、歴史を動かすのは、政治や経済といった表面的な出来事ではなく、人々の深層心理に根ざした、ゆっくりとした時間の流れの中で醸成される「感性」であると考えました。

###

地中海世界の多様性と共通性

ブローデルは、地中海世界を、多様な文化が交錯する空間として捉えました。彼は、この地域に存在する様々な言語、宗教、習慣などを丹念に描写し、その多様性を浮き彫りにしました。しかし、同時に彼は、地中海世界に共通する「感性」の存在も指摘しています。それは、例えば、太陽の光と影のコントラスト、乾燥した空気と風の存在、オリーブやブドウといった農作物など、風土から生まれる共通の感覚体験によって育まれたものです。

###

「 longue durée」(長期持続)

ブローデルは、歴史を理解するためには、「longue durée」(長期持続)という視点が不可欠であると考えました。これは、短期的には変化が見えにくい、地理的条件や気候、文化といった要素が、長い時間をかけて歴史に大きな影響を与えているという考え方です。地中海という空間は、まさにこの「longue durée」を体現する存在であり、ブローデルは、その歴史を紐解くことで、人間の営みの根源に迫ろうとしました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5