## ブロッホのユートピアの精神の位置づけ
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ブロッホにおける「ユートピア」概念
エルンスト・ブロッホにとって、「ユートピア」は単なる空想や絵空事ではありませんでした。彼は、人間存在の根源に深く根ざした、世界と積極的にかかわり、より良い未来を希求する原動力として「ユートピアの精神」を捉えていました。
ブロッホは、人間の意識には「 anticipatory consciousness(予期的意識)」と呼ばれる、未来を予感し、そこへ向かっていく潜在能力が備わっていると主張しました。ユートピアはこの予期的意識の産物であり、現状への批判と未来への希望を内包しています。
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「ユートピアの精神」と歴史
ブロッホは、歴史を唯物論的に解釈しながらも、そこに人間の「ユートピアの精神」が作用していると見なしました。
彼は、宗教や芸術、社会運動など、一見非合理的に見える現象の中に、人間のユートピアへの希求を読み取りました。これらの現象は、当時の社会状況への不満や矛盾を反映し、より良い世界の実現を夢見て行動を起こす人々の精神の表れだと解釈したのです。
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「ユートピアの精神」の意義
ブロッホは、「ユートピアの精神」こそが、人間を現状の枠を超えて行動させ、歴史を前進させる原動力になると考えました。
「ユートピアの精神」は、現状への批判にとどまらず、未来への具体的な希望を描くことを促します。そして、その希望を実現するために人々を結びつけ、行動へと駆り立てる力となります。
ブロッホは、「ユートピアの精神」を常に持ち続けることの重要性を説きました。たとえ具体的なユートピア像が実現不可能に見えたとしても、その精神を持ち続けることによって、現状に安住することなく、より良い世界を希求し続けることができるからです。
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