Skip to content Skip to footer

ブルクハルトのイタリア・ルネサンスの文化の話法

## ブルクハルトのイタリア・ルネサンスの文化の話法

ブルクハルトの語り口:主観と客観の織りなす世界

ヤコブ・ブルクハルトの『イタリア・ルネサンスの文化』(1860年)は、ルネサンス期イタリアを鮮やかに描き出した歴史書として、今日でも高い評価を受けています。しかし、その語り口は、現代の歴史学の視点から見ると、独特な側面を持つことも事実です。

ブルクハルトは、歴史家であると同時に、教養人、そして文 stylist でもありました。彼の文章は、客観的な史料に基づいていると同時に、彼自身の主観的な解釈や感情、そして美的感覚が色濃く反映されています。

例えば、彼はルネサンス期の芸術作品や建築物を、単なる歴史的資料としてではなく、独自の美意識に基づいて評価し、その魅力を詩的な文章で表現しています。また、当時の社会や文化についても、彼自身の価値観や倫理観を通して分析し、時には現代社会に対する批判を込めて論じています。

歴史を動かす「個人」への着目

ブルクハルトは、ルネサンスという時代を理解する上で、「個人」の役割を特に重視しました。彼は、当時のイタリアで花開いた芸術、文学、そして政治といったあらゆる文化現象の背景には、個人の才能や個性、そして自由への希求があったと考えたのです。

そのため、彼の著作では、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロといった芸術家、マキャベリやチェーザレ・ボルジアといった政治家など、個性豊かな人物たちが数多く登場します。ブルクハルトは、彼らの人生や業績を生き生きと描き出すことで、読者にルネサンスという時代の息吹を体感させようと試みたのです。

「近代」との対比

ブルクハルトは、ルネサンス期を「中世」と「近代」の橋渡しをする時代として捉えていました。彼は、ルネサンス期に、それまでの宗教中心的な世界観から脱却し、人間中心的な世界観が芽生えたと考え、これを「近代」の始まりと位置付けました。

彼の著作では、ルネサンス期の文化現象が、しばしば「近代」の特徴と対比されながら論じられています。例えば、彼は、ルネサンス期の個人主義や自由への希求を、近代社会の基盤となる価値観として高く評価しています。一方で、近代社会が抱える物質主義や精神的な空虚さといった問題点についても言及し、ルネサンス期との比較を通して、現代社会への警鐘を鳴らしています。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5