## ブルクハルトのイタリア・ルネサンスの文化の技法
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資料の扱い方
ブルクハルトは、膨大な量の一次資料を駆使しました。その中には、ルネサンス期の文学作品、書簡、日記、政治文書、芸術作品などが含まれます。彼は、これらの資料から直接引用することで、ルネサンス期の雰囲気を生き生きと描き出すことに成功しました。
彼が特に重視したのは、個人の内面を映し出すような資料です。例えば、彼はルネサンス期の芸術家たちの自伝や書簡を詳細に分析することで、彼らの芸術観や人間像を浮き彫りにしようとしました。
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叙述の方法
ブルクハルトは、伝統的な歴史叙述のスタイルを打ち破り、独自の文体でルネサンスを描写しました。彼は、年代順の出来事の羅列を避け、テーマごとに章を構成しています。
また、彼は客観的な事実の記述に留まらず、自身の主観や解釈を積極的に作品に織り込みました。鮮やかな比喩表現や詩的な文章を用いることで、読者に強い印象を与えることに成功しています。
さらに、彼はルネサンス期の人物や出来事を現代に蘇らせるかのような、臨場感あふれる描写を得意としました。まるで読者がルネサンスの世界にタイムスリップしたかのような錯覚に陥らせる、ブルクハルトの筆力も大きな特徴と言えるでしょう。
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歴史観
ブルクハルトは、ルネサンスを「個人の発見」と「近代の夜明け」として捉えました。彼は、中世においては神を中心とした世界観が支配的であったのに対し、ルネサンス期においては人間中心主義が台頭してきたと主張しました。
彼は、ルネサンス期の芸術や文化を、人間の自由な精神と創造性の発露として高く評価しました。そして、ルネサンスの精神は、近代ヨーロッパの形成に大きな影響を与えたと結論付けました。