## ブルクハルトのイタリア・ルネサンスの文化の周辺
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**１．ヤコブ・ブルクハルトと彼の時代**
ヤコブ・ブルクハルト（1818-1897）は、19世紀のスイスの歴史家、美術史家です。彼は、ルネサンス期のイタリアを「近代」の起源と位置づけ、「個性」の発見や「世俗化」といった概念を用いてその特徴を描き出しました。
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**２．『イタリア・ルネサンスの文化』の内容と影響**
ブルクハルトの主著『イタリア・ルネサンスの文化』（Die Kultur der Renaissance in Italien, 1860）は、ルネサンス期のイタリアにおける政治、経済、社会、芸術、文化を包括的に論じたものです。彼は、ルネサンスを「中世」と決別し、人間中心主義的な新しい文化が花開いた時代として捉えました。
本書は、ルネサンス研究の古典として、その後の歴史家や美術史家に多大な影響を与えました。特に、ルネサンスを「個性の発見」と「世俗化」の時代として捉える視点は、広く受け入れられました。
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**３．『イタリア・ルネサンスの文化』への批判**
ブルクハルトの著作は、その後の研究によっていくつかの点で批判されています。例えば、ルネサンスを「中世」との断絶において捉えすぎている点や、「個性」や「世俗化」といった概念を時代を超越した普遍的なものとして提示している点などが挙げられます。
また、ブルクハルトは、ルネサンスを理想化し、その負の側面（例えば、政治闘争や社会不安）を軽視しているという指摘もあります。
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**４．ブルクハルト以降のルネサンス研究**
20世紀以降、ルネサンス研究は大きく進展しました。歴史学においては、一次史料の批判的な分析に基づいて、ルネサンスを多角的に捉えようとする試みがなされてきました。
美術史においても、図像学や社会史などの新しい方法論が導入され、美術作品の背後にある思想や社会構造を解明しようとする研究が進められています。
これらの研究を通じて、ブルクハルトの提示したルネサンス像は、現代では部分的に修正を迫られていますが、彼の著作は依然としてルネサンスを理解する上で重要なテキストであり続けています。