フレーベルの人間の教育に影響を与えた本
ルソーの「エミール」の影響
ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチの思想を受け継ぎ、独自の発展を遂げたフリードリヒ・フレーベルは、幼児教育の父として知られています。彼の教育思想に大きな影響を与えた書物の一つに、ジャン・ジャック・ルソーの『エミール』が挙げられます。
自然主義教育の重視
ルソーは『エミール』の中で、人間は本来善なる存在であり、自然に従って生きることが重要であると説きました。フレーベルもまた、子どもは神によって創造されたものであり、その内面に秘められた可能性を自然な形で開花させるべきだと考えました。
子どもの主体性を尊重する教育
『エミール』では、子どもの自発性や興味・関心を尊重し、強制ではなく、自然な形で成長を促すことが重要視されています。フレーベルもまた、子どもの自発的な活動を通して、内面から湧き上がる「内的欲求」を満たし、心身ともに調和のとれた人間形成を目指しました。
具体的な教材の開発
ルソーは『エミール』の中で具体的な教育方法を示すことはしませんでしたが、フレーベルは具体的な教材を開発しました。それは「神の贈り物」と彼が呼んだ球や積木などの「恩物」と呼ばれるものでした。子どもたちはこれらの遊具を通して、遊びの中で自然と学び、創造性を育んでいくことができます。
「遊び」の重要性
ルソーは『エミール』の中で、子ども時代における「遊び」の重要性を説いています。フレーベルもまた、「遊び」は子どもにとって最も自然な活動であり、心身の発達に不可欠なものだと考えました。彼は「遊び」を通して子どもたちは周囲の世界を認識し、自己表現を学び、創造性を育んでいくと信じていました。
このように、フレーベルの幼児教育はルソーの『エミール』の影響を色濃く受けています。自然主義教育、子どもの主体性を尊重する教育、そして「遊び」の重要性の強調といった点は、フレーベルの教育思想の根底に流れている重要な要素であり、『エミール』から大きな影響を受けた結果と言えるでしょう。