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フッサールのヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学を面白く読む方法

フッサールのヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学を面白く読む方法

フッサールの難解な文章に立ち向かう

 フッサールの著作は、哲学の専門家にとっても難解であることで有名です。抽象的な概念や独特の用語が、読者を容易に迷宮へと誘い込みます。しかし、その難解さの裏には、現代思想の根幹を揺るがす重要な問題意識が隠されています。彼の思想の真髄に触れるためには、いくつかのポイントを押さえながら読み進めることが重要です。

「ヨーロッパ諸学の危機」を読み解く面白さ:近代の危機と理性批判

 まず、「ヨーロッパ諸学の危機」は、第一次世界大戦後のヨーロッパの精神的荒廃を背景に、近代科学の勝利に隠された「理性」の限界を鋭く指摘した書です。フッサールは、近代科学が「客観性」を追求するあまり、人間の「生きた経験」や「意味の世界」を軽視してきたと批判します。そして、この「意味の喪失」こそが、ヨーロッパを危機に陥れた根源だと考えました。

 例えば、科学は自然現象を法則によって説明しますが、その法則自体には「意味」がありません。リンゴが木から落ちる現象を、重力の法則によって説明することができますが、ではなぜリンゴは落ちるべきなのか、という問いに科学は答えてくれません。フッサールは、このような「意味への問い」を置き去りにしてきたことが、近代科学の限界であり、ヨーロッパの危機を招いたと考えています。

「超越論的現象学」への招待:意識体験の謎を解き明かす旅

 では、失われた「意味」を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか? フッサールは、その鍵を「意識」に求めました。彼の提唱する「超越論的現象学」は、人間の意識体験そのものを徹底的に分析し、「意識」がどのように「世界」を構成しているのかを明らかにしようとする試みです。

 私たちが「世界」と呼んでいるものは、実は私たちの「意識」によって構成されたものであり、「意識」の外にある「客観的な世界」を知ることはできない、というのがフッサールの主張です。彼は、この「意識」と「世界」の関係を明らかにすることで、「意味の世界」を回復できると考えました。

難解さを乗り越え、フッサールの思想の核心へ

 フッサールの著作を読むことは、容易ではありません。しかし、彼の思想は、現代社会における「意味の危機」を克服するための重要なヒントを与えてくれます。難解な文章の背後にある、フッサールの熱い問題意識を感じながら読み進めてみてください。

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