Skip to content Skip to footer

フォークナーの響きと怒りの面白さ

フォークナーの響きと怒りの面白さ

登場人物たちの内面に迫る独創的な語り口

ウィリアム・フォークナーの代表作『響きと怒り』は、コンプソン家の没落を軸に、崩壊していく南部の貴族社会とそこに生きる人々の内面を、時間軸を行き来しながら描き出す壮絶な物語です。

本作最大の特徴であり、面白さを語る上で欠かせないのが、それぞれの視点人物に焦点を当てた4部構成と、意識の流れを表現した独特な語り口です。

時間を超越した物語構成

第1部と第2部は、知能に障害を持つベンジーと、ハーバード大学に通うクエンティンを語り手に据え、彼らの断片的な記憶と意識の流れを通して、過去の出来事が浮かび上がってきます。

時間軸が錯綜し、一見すると理解が難しい構成ながらも、読者は彼らの混乱した内面に引き込まれ、断片的な情報をつなぎ合わせることで、コンプソン家の真実へと近づいていく面白さを味わえます。

多角的な視点が生み出すドラマ

第3部では、冷酷で現実的なジェイソンを語り手に、コンプソン家の没落がより具体的に描かれます。

そして最終章となる第4部では、全知的な語り手によって、黒人の使用人ディルシーを中心に物語が展開されます。

このように、それぞれの視点人物によって異なる角度から描かれることで、物語に奥行きが生まれ、読者は登場人物たちの複雑な関係性や心理をより深く理解することができます。

南部社会の現実と人間の業

『響きと怒り』は、単なる家族の物語ではなく、南北戦争後の南部社会が抱える問題や、人間の業といった普遍的なテーマを描いています。

フォークナーは、意識の流れや時間軸の操作といった革新的な手法を用いることで、愛と喪失、罪と罰といった人間の根源的な感情を描き出し、読者に深い思考を促します。

Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

Leave a comment

0.0/5