## フォークナーのアブサロム、アブサロム！から得られるもの
アメリカ南部という舞台における歴史と記憶
「アブサロム、アブサロム！」は、南北戦争以前から20世紀初頭にかけてのアメリカ南部を舞台に、トーマス・サトペンという男とその家族の興亡を描いています。 サトペンの物語を通して、フォークナーは奴隷制、人種差別、階級社会といった南部の歴史における暗い側面を浮き彫りにし、それらが後の世代にどのように影を落とすのかを探求しています。
複雑な物語構成と語り手による視点の相違
この作品は、複数の語り手による回想という形で物語が展開されていきます。それぞれの語り手は独自の視点、偏見、記憶の欠如を抱えており、読者は断片的な情報をつなぎ合わせてサトペン家の真実に迫ることになります。 このような複雑な物語構成と語り手の不確かさによって、歴史認識の曖昧性や主観性が強調されています。
人間の欲望と業、愛と憎悪の交錯
サトペンは、野心、支配欲、純粋な愛といった様々な感情に突き動かされる複雑な人物として描かれています。彼の行動は、周囲の人々の運命を大きく左右し、悲劇的な結末を招くことになります。フォークナーは、サトペンとその家族を通して、人間の心の奥底にある欲望と業、愛憎の複雑さを描き出しています。
詩的で難解な文体と独特の表現
フォークナーは、長文や意識の流れ、南部特有の方言を駆使した独特の文体で知られています。「アブサロム、アブサロム！」においても、その詩的で難解な文体は健在であり、読解には忍耐と集中力が必要です。しかし、その複雑な文章表現は、登場人物の心理や物語のテーマを深く理解するための重要な要素となっています。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。