フォイエルバハのキリスト教の本質の原点
ヘーゲル哲学からの出発
ルートヴィヒ・アンドレアス・フォイエルバッハは、ヘーゲル哲学の洗礼を受けた思想家でした。とりわけ、ヘーゲル左派に属する青年ヘーゲル派の活動を通して、ヘーゲル哲学を批判的に継承しようとしました。
人間疎外の克服
フォイエルバッハは、ヘーゲル哲学の観念論的な立場を批判し、人間存在の現実性を重視する唯物論的な立場を主張しました。ヘーゲルが「絶対精神」の自己展開として歴史を捉えたのに対し、フォイエルバッハは人間とその意識、そしてその歴史的な活動こそが本質であると考えました。
宗教批判の萌芽
彼は、人間が自身の持つ本質的な能力や属性を神という超越的な存在に投影し、神を崇拝することで、自らを作り出した「疎外」の状態にあると批判しました。そして、この「疎外」からの回復、つまり人間が自身の本来の姿を取り戻すことが重要であると説きました。