フェルミの原子核物理学講義の位置づけ
講義ノートの成立
エンリコ・フェルミが1949年夏にシカゴ大学で行った原子核物理学の講義は、講義に出席していた学生のひとり、アンソニー・ジノキが詳細なノートをとっていたことで知られています。ジノキは毎日、フェルミの講義内容をできる限り忠実に書き取り、タイプライターで清書し、それをフェルミに渡して確認と修正を受けていました。
講義の内容
講義は全部で24回からなり、原子核物理学の基礎的な事柄が網羅的に解説されています。具体的な内容は以下の通りです。
* 原子核の構造
* 核力
* 放射性崩壊
* 核反応
* 核分裂
* 素粒子
フェルミはこれらのテーマについて、実験データに基づいた論理的な説明を行い、随所に彼独自の洞察を織り交ぜています。
出版と影響
ジノキのノートは、フェルミの死後、1951年に「Nuclear Physics」というタイトルでシカゴ大学出版会から出版されました。本書はその後も版を重ね、多くの言語に翻訳され、原子核物理学の古典的な教科書として、世界中の学生や研究者に読まれ続けています。
本書の特徴
本書の特徴としては、以下の点が挙げられます。
* 原子核物理学の黎明期における、第一線の研究者による講義録であること
* 実験データに基づいた、明快で簡潔な説明がなされていること
* フェルミ独自の洞察や思考法に触れることができること
これらの特徴から、本書は単なる教科書を超えた価値を持つものとして評価されています。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。