## フィヒテの全知識学の基礎に匹敵する本
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イマヌエル・カント著「純粋理性批判」
「純粋理性批判」は、1781年に刊行されたドイツの哲学者イマヌエル・カントの主著であり、西洋哲学史における最も影響力のある書物のひとつとして広く認められています。本書は、人間の理性とその限界、そして形而上学、認識論、倫理学といった分野におけるその役割を探求しています。
カントは、「純粋理性批判」において、人間の知識は経験と理性という二つの源泉から生じると主張しました。経験は、感覚を通して得られる外界に関する情報を提供し、理性は、概念やカテゴリーを用いて、この情報を秩序立て、理解することを可能にします。
カントは、理性は経験によらない「アプリオリ」な知識を持つと主張しますが、この知識は現象界、すなわち我々が経験する世界のみに限定されるとも論じました。彼によれば、物自体、すなわち現象の背後にある究極的な実在は、人間の理性では認識することができません。
「純粋理性批判」は、西洋哲学に大きな影響を与え、ドイツ観念論の発展に貢献しました。また、認識論、形而上学、倫理学といった分野におけるその後の議論に多大な影響を与え続けています。
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ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル著「精神現象学」
「精神現象学」は、1807年に刊行されたドイツの哲学者ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの主著であり、意識の発展段階を体系的に記述した書物として知られています。ヘーゲルは、本書において、意識は自己意識、理性、精神という段階を経て、絶対知へと至ると主張しました。
ヘーゲルは、弁証法という概念を用いて、意識の発展過程を説明しました。弁証法は、正(テーゼ)、反(アンチテーゼ)、合(ジンテーゼ)という三つの段階から成る思考プロセスです。正は、ある概念や命題を指し、反は、正と矛盾する概念や命題を指します。そして、合は、正と反の矛盾を解消する、より高次の概念や命題です。
ヘーゲルによれば、意識は、絶えず自己と世界との矛盾を経験することによって発展していきます。そして、この矛盾を弁証法的に乗り越えることによって、より高次の段階へと進んでいきます。
「精神現象学」は、西洋哲学、特にドイツ観念論に大きな影響を与え、マルクス主義や実存主義といった思想にも影響を与えました。