Skip to content Skip to footer

ピグーの厚生経済学に関連する歴史上の事件

## ピグーの厚生経済学に関連する歴史上の事件

### 1. 産業革命と貧困問題

 18世紀後半から19世紀にかけてイギリスで起こった産業革命は、経済成長と技術革新をもたらす一方で、都市部への人口集中、劣悪な労働環境、貧富の格差拡大といった社会問題を引き起こしました。アダム・スミスが「国富論」で唱えた自由放任主義経済は、効率性を重視するあまり、こうした社会問題への有効な解決策を示すことができませんでした。ピグーは、このような時代背景のもと、経済学が社会の幸福に貢献するためには、効率性だけでなく、分配の公平性も考慮する必要があると考えました。

### 2. 第一次世界大戦と政府の役割

 第一次世界大戦は、国家間の対立がもたらす経済的・社会的な損失を世界に知らしめるとともに、政府による資源配分の重要性を浮き彫りにしました。戦時中の統制経済は、政府が介入することで市場メカニズムだけでは達成できない目標を達成できる可能性を示唆しました。ピグーは、この経験を踏まえ、政府が積極的に経済活動に介入することで、市場の失敗を修正し、社会全体の厚生を高めることができると主張しました。

### 3. 世界恐慌とケインズ経済学の台頭

 1929年に始まった世界恐慌は、資本主義経済の抱える根本的な問題を露呈させました。従来の経済学では、市場メカニズムは常に均衡状態に向かって自動調整されると考えられていましたが、世界恐慌は市場メカニズムが機能不全に陥り、長期にわたる不況をもたらす可能性を示しました。このような状況下で、ジョン・メイナード・ケインズは、政府による積極的な財政政策が有効需要を創出し、経済を回復させると主張しました。ケインズの主張は、当時の経済学界に大きな衝撃を与え、ピグーの厚生経済学もその影響を受けました。

### 4. 福祉国家の誕生

 第二次世界大戦後、ヨーロッパ諸国を中心に、社会保障制度の充実や公共サービスの拡充など、国民の生活水準向上と社会の安定化を目指す「福祉国家」が誕生しました。福祉国家の理念は、市場メカニズムだけに頼らず、政府が積極的に介入することで、社会全体の幸福を追求しようとするものであり、ピグーの厚生経済学とも共通する点が多く見られます。ピグー自身も、戦後は政府の経済政策アドバイザーとして活躍し、福祉国家の建設に貢献しました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5