ピグーの厚生経済学に匹敵する本
歴史的名著:ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」
アルフレッド・ピグーの「厚生経済学」と並び、ジョン・メイナード・ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」(1936年)は経済学の歴史に大きな影響を与えた名著です。
ピグーがミクロ経済学的な視点から福祉と資源配分を分析したのに対し、ケインズはマクロ経済学的な視点から、特に有効需要の不足による失業問題に焦点を当てました。
「一般理論」は、古典派経済学の考え方に疑問を呈し、大恐慌後の世界経済が直面していた深刻な不況の解決策を提示しました。ケインズは、市場メカニズムが自動的に完全雇用を達成するとは限らず、政府が積極的な財政政策によって有効需要を創出する必要性を説きました。
ケインズ理論の影響
「一般理論」は、出版当時大きな論争を巻き起こしましたが、世界恐慌後の経済政策に多大な影響を与え、多くの国でケインズ経済学に基づく政策が採用されました。
彼の提唱した有効需要の概念、乗数効果、流動性の罠といった理論は、現代のマクロ経済学の基礎となっています。
「一般理論」は、経済学の枠組みを大きく変え、政府の役割、経済政策のあり方、失業問題への対処法など、現代経済学の主要なテーマに大きな影響を与えました。
「一般理論」の評価
「一般理論」は、その後の経済学の発展に大きな貢献をしました。出版から80年以上経った現在でも、世界経済の動向を分析する上で重要な視点を提供しています。
しかし、ケインズの理論は万能ではなく、その後の経済状況の変化や批判的な研究によって、その限界も指摘されています。
それでも、「一般理論」は、ピグーの「厚生経済学」と同様に、経済学の歴史に燦然と輝く金字塔であり、現代経済学の礎を築いた名著として、その価値は決して色褪せることはありません。