パレートの社会学概論を読んだ後に読むべき本
社会学の想像力 マックス・ウェーバーを読む / 見田 宗介
パレートの『社会学概論』を読み終えた後、次に手に取るべき一冊として、見田宗介の『社会学の想像力 マックス・ウェーバーを読む』を挙げたいと思います。パレートとウェーバーは、ともに古典的な社会学の巨匠として知られていますが、両者の思想は対照的な面も多々あります。パレートが人間行動の非合理的な側面を強調するのに対し、ウェーバーは近代社会における合理性の進展に焦点を当てています。
『社会学概論』では、人間社会を支配する「残余」と「派生」という概念を中心に、エリートの循環や社会の変動メカニズムを解き明かそうとしています。パレートは、人間の行動は感情や本能といった非合理的な要因に大きく左右されると考えており、社会現象を説明する上では、こうした非合理的な側面を直視する必要があると主張しました。
一方、ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』などの著作で、近代資本主義の成立を宗教改革と結びつけ、近代社会における合理化の進展を分析しました。ウェーバーによれば、近代社会は官僚制や法治主義といった合理的なシステムによって特徴づけられており、人々の行動もまた、合理的な計算に基づいて行われるようになると考えました。
『社会学の想像力』は、ウェーバーの主要な著作を分かりやすく解説した入門書として高く評価されています。見田はウェーバーの思想を「理解社会学」と呼び、人間の行動を理解することの重要性を強調しています。
『社会学概論』を読んだ後、『社会学の想像力』を読むことで、社会学における二つの大きな流れ、すなわち、人間の非合理性を重視する立場と、合理性を重視する立場の両方を理解することができます。これは、現代社会をより深く理解するためにも非常に重要な視点を与えてくれるでしょう。
さらに、見田はウェーバーの思想を現代社会にも適用し、現代社会が抱える問題を鋭く分析しています。例えば、情報化社会における合理化の進展や、現代人の抱える不安や孤独といった問題について、ウェーバーの視点から考察しています。
『社会学概論』と『社会学の想像力』を読むことで、社会学という学問の奥深さ、面白さを実感できるだけでなく、現代社会を理解するための重要な視点を手に入れることができるでしょう。