パムクの私の名は赤に匹敵する本
ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」
14世紀のイタリアの修道院を舞台に、修道士ウィリアムが連続殺人事件の謎を追う歴史推理小説です。パムクの作品と同じく、歴史、文化、芸術が複雑に絡み合い、ミステリー要素も相まって読者を惹き込みます。写本や図書館といった舞台設定も、「私の名は赤」と共通しており、中世における芸術と知識の役割について考えさせられる点も興味深いです。
サルマン・ラシュディの「真夜中の子供達」
インド・パキスタン分離独立の瞬間に生まれた子供たちの物語を通して、歴史のうねりと個人の運命を描いた作品です。マジックリアリズムの手法を用い、壮大なスケールで歴史とファンタジーを融合させている点が「私の名は赤」と共通しています。また、両作品とも、語り手である主人公の視点を通して、歴史の真実とは何かを問いかける作品でもあります。
ガブリエル・ガルシア＝マルケスの「百年の孤独」
コロンビアのマコンドという架空の町を舞台に、ブエンディア家七世代にわたる壮大な家族の歴史を描いた作品です。ラテンアメリカ文学を代表する作品の一つであり、マジックリアリズムの手法を駆使して、時間と現実の境界線を曖昧にした独特の世界観を創造しています。パムクの作品のように、歴史と物語が密接に関係し、神話的要素も多分に含まれている点が共通しています。