## パブロフの条件反射に匹敵する本
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**行動主義心理学の金字塔:**
スキーナーの「行動の科学」
イワン・パブロフの『条件反射』が古典的条件付けの基礎を築いたように、バラス・フレデリック・スキナーの『行動の科学』(Science and Human Behavior)はオペラント条件付けという新たな地平を切り開いた行動主義心理学の記念碑的作品です。1953年の出版以来、心理学のみならず教育、社会学、哲学など多岐にわたる分野に計り知れない影響を与え続けています。
本書でスキナーは、人間の行動は環境との相互作用によって形成されると主張し、行動の法則性を明らかにしようと試みています。 パブロフの研究が主に反射的な反応を扱っていたのに対し、スキナーは自発的な行動に焦点を当て、行動の後に続く結果がその行動の頻度を増減させることを実証しました。彼はこれを「オペラント条件付け」と呼び、強化や罰といった概念を用いて体系的に解説しています。
『行動の科学』は難解な専門用語を避け、平易な言葉で書かれている点も特筆すべき点です。具体的な例を豊富に盛り込みながら、人間の学習、言語、社会行動、心理療法などを行動分析の視点から解き明かしていくことで、読者は行動主義心理学の精緻な理論を容易に理解することができます。
パブロフの『条件反射』が古典的条件付けのバイブルとすれば、『行動の科学』はオペラント条件付けのバイブルと言えるでしょう。行動主義心理学を学ぶ上での必読書であるばかりでなく、人間の行動と学習の本質に迫る一級の科学書として、現代社会においても色褪せない価値を放っています。