Skip to content Skip to footer

パスカルのパンセの光と影

## パスカルのパンセの光と影

###

人間の偉大さと悲惨さ

パスカルは、人間を「考える葦」と表現し、その弱さと同時に偉大さを指摘しました。自然の中では取るに足らない存在である一方、思考能力によって無限の空間や永遠の時間を認識できることが人間の特異性です。しかし、この偉大さは、同時に悲惨さをもたらします。有限な存在である人間は、無限や永遠を真に理解することができず、そこから不安や苦悩が生じます。

パスカルは、人間のこの二重性を、鋭くも美しい言葉で描き出しています。「人間は、考えることによってのみ偉大なのである。人間は、考える葦にすぎない。しかし、この葦は考える。宇宙全体が武器をとってこの葦を襲っても、この葦は、自分を滅ぼすものよりも高貴であろう。なぜなら、人間は自分が死ぬことを知っているし、宇宙が人間に勝っていることを知っているからである。宇宙は何も知らない。」(パンセ200)

###

理性と心の対比

パスカルは、理性のみでは人間を真の幸福に導くことはできないと考えました。理性は、世界を分析し、理解する上で重要な役割を果たしますが、人間の感情や信仰といった領域を完全に把握することはできません。

パスカルは、理性では説明できない心の動き、すなわち「心情」の重要性を説きます。「心には、理性にはない理由がある。」(パンセ277) この言葉は、人間の行動や選択が、必ずしも論理的な思考に基づくものではなく、感情や直感といった非合理的な要素に影響されることを示唆しています。

彼は、信仰と理性の間には溝があるとしながらも、最終的には神への信仰によってのみ、人間の心の奥底にある不安や虚無感を埋めることができるとしました。

###

世界における人間の位置

パスカルは、広大な宇宙の中で、人間は小さく、無力な存在であることを強調しました。しかし、同時に、人間は思考能力を持つことで、その運命を超越できる可能性も秘めていると考えました。

「無限の球体の中心はどこにあるのか。それは至るところにあり、円周はどこにもない。」(パンセ199) この言葉は、人間中心主義的な世界観を否定し、宇宙の無限性と人間の有限性を対比させています。

パスカルは、人間が自身の小ささを自覚することで、謙虚さを持ち、同時に、無限なるものへの憧憬を抱くことができるようになると考えました。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5