パシュカーニスの法の一般理論とマルクス主義の関連著作
パシュカーニスの主要著作
* **法の一般理論とマルクス主義 (1924年)**: パシュカーニスの代表作。法の起源を商品交換に見出し、法的形式を商品形式の反映として捉えることで、マルクス主義の立場から法の階級性を鋭く批判しました。
* **法哲学と法思想選集 (1929年)**: パシュカーニスの論文や講演などをまとめたもの。法と経済の関係、国家と法の関係などについて、彼の思想がより深く理解できる内容となっています。
パシュカーニスに影響を与えたマルクス主義関連著作
* **資本論 (カール・マルクス、1867年~1894年)**: 商品形式の分析、資本主義経済の構造、階級闘争などを論じたマルクスの主著。パシュカーニスは特に商品形式の分析に着目し、それを法理論に応用しました。
* **国家と革命 (レーニン、1917年)**: 国家の起源、本質、役割などをマルクス主義の立場から分析し、プロレタリア革命による国家の消滅を主張したレーニンの著作。パシュカーニスは、国家と法の密接な関係を論じる上で、レーニンの国家論から大きな影響を受けています。
パシュカーニスの法理論を批判的に検討した著作
* **法の政治学 (カール・シュミット、1923年)**: ドイツの法学者カール・シュミットの著作。パシュカーニスの法理論を、経済還元主義に陥っていると批判し、法の自律性を強調しました。シュミットは、法の根拠を政治的な決断に見出し、パシュカーニスの理論とは対照的な立場を展開しました。
* **法の概念 (ハンス・ケルゼン、1934年)**: オーストリアの法学者ハンス・ケルゼンの代表作。法を「規範」として捉え、その妥当性の根拠を、究極的には「基本規範」に求めました。ケルゼンは、法と道徳や政治などの区別を厳密に行い、純粋な法理論を構築しようとした点で、パシュカーニスとは大きく異なっています。
パシュカーニスとソビエト法論
* **レーニン主義国家と法の理論 (ヴィシンスキー、1938年)**: スターリン時代のソ連を代表する法学者アンドレイ・ヴィシンスキーの著作。パシュカーニスの法理論を「ブルジョア法学の復活」と激しく批判し、社会主義法の理論的基礎を築こうとしました。ヴィシンスキーは、社会主義国家における法の役割を強調し、その強化を主張しました。
これらの著作は、パシュカーニスの法理論とその時代背景、そしてその影響下で展開された法思想を理解する上で重要な文献です。