パシュカーニスの法の一般理論とマルクス主義の周辺
パシュカーニスの生い立ちと「法の一般理論とマルクス主義」の位置づけ
エヴゲーニー・パシュカーニス(1898-1937)は、ソビエト連邦の法学者、哲学者です。彼は、カール・マルクスの唯物史観に基づいた独自の法理論を展開し、特に主著である『法の一般理論とマルクス主義』(1924年)は、マルクス主義法学における古典の一つとされています。
「法の一般理論とマルクス主義」における主要な論点
パシュカーニスは、同書において、法を「商品形式」と結びつけ、資本主義社会における法の役割を分析しました。彼は、法の諸範疇(例えば、契約、所有権、責任など)を、商品交換の関係から派生したものと捉えました。
パシュカーニスの法理論に対する評価と批判
パシュカーニスの法理論は、その後のマルクス主義法学に大きな影響を与えましたが、同時に様々な批判も寄せられました。主な批判としては、法の「上部構造」的性格を過度に強調しすぎている点、国家や政治の役割を軽視している点などが挙げられます。
「法の一般理論とマルクス主義」の歴史的背景
パシュカーニスが『法の一般理論とマルクス主義』を発表した1920年代は、ロシア革命後のソビエト連邦において、新しい社会主義法体制の構築が模索されていた時代でした。パシュカーニスの理論は、このような時代背景の中で、旧来のブルジョア法を批判し、新たな社会主義法の理論的基礎を提供するものとして注目を集めました。
パシュカーニスのその後とスターリン主義
しかし、1930年代に入ると、スターリン主義の台頭とともに、パシュカーニスの法理論は、「ブルジョア法の残滓」として批判されるようになります。パシュカーニス自身も、1937年にスターリンによる粛清の犠牲となり、銃殺刑に処せられました。
「法の一般理論とマルクス主義」の現代における意義
スターリン主義の崩壊後、パシュカーニスの法理論は再評価され、現代のマルクス主義法学においても重要な参照点となっています。特に、グローバリゼーションが進展し、資本主義が新たな段階を迎えている今日において、パシュカーニスの法理論は、現代社会における法の役割を分析するための重要な視点を提供するものとして、改めて注目されています。