バルザックのゴリオ爺さんを面白く読む方法
1.登場人物たちの欲望の関係図を描きながら読む
「ゴリオ爺さん」は、父の財産を食いつぶす娘たち、立身出世を望む青年、野望を胸に秘めた元娼婦など、さまざまな欲望が渦巻く群像劇です。登場人物たちの複雑な関係性を理解し、それぞれの思惑を読み解きながら読み進めることで、物語はより一層面白くなります。
例えば、次のような点に注目してみましょう。
* 各人物は何を強く望んでいるのか?
* その欲望は他の登場人物とどのように絡み合っているのか?
* 物語が進むにつれて、欲望の対象や関係性はどのように変化していくのか?
登場人物たちの相関図を作り、そこにそれぞれの欲望や関係性を書き込んでいくと、より深く理解することができます。
2.当時の社会背景を調べながら読む
「ゴリオ爺さん」は、19世紀前半のフランス社会を舞台にした作品です。当時のフランスは、フランス革命やナポレオン戦争を経て、大きな社会変革期を迎えていました。
作中に登場する、貴族社会の没落とブルジョワ階級の台頭、金銭欲や名誉欲に翻弄される人々の姿は、当時の社会を反映したものです。当時の社会背景を理解することで、登場人物たちの行動や心理、そして作品全体のテーマがより深く理解できます。
例えば、次のようなテーマについて調べてみるとよいでしょう。
* フランス革命後の社会構造の変化と人々の価値観
* ブルジョワ階級の台頭と貴族階級の没落
* 当時の結婚制度と女性の立場
3.ゴリオ爺さんの父性愛に注目して読む
「ゴリオ爺さん」の大きなテーマの一つに、ゴリオの娘たちへの盲目的な愛情があります。ゴリオは、娘たちに幸せになってほしい一心で、自分の全財産を注ぎ込み、娘たちのワガママにも耐え忍びます。
しかし、娘たちはそんなゴリオの愛情に気づかず、自分たちの欲望を満たすためだけにゴリオを利用します。ゴリオの悲劇的な運命を通して、バルザックは、親子の愛情、家族のあり方、人間のエゴイズムなど、普遍的なテーマを描いています。
ゴリオの行動や心理を読み解きながら、以下の点について考えてみましょう。
* ゴリオの愛情表現は、娘たちにとって本当に幸せなものだったのか?
* 娘たちはなぜゴリオの愛情に応えられなかったのか?
* 真の親子関係とは何か?
4.ラスティーニャックの成長物語として読む
「ゴリオ爺さん」は、主人公の青年ウジェーヌ・ド・ラスティーニャックが、パリという大都会で様々な人間模様に触れ、野心と現実の間で葛藤しながら成長していく物語でもあります。
ラスティーニャックは、純粋な青年でしたが、ゴリオ爺さんやヴォートラン夫人などの影響を受け、次第に出世のために手段を選ばない冷酷な人間へと変貌していきます。
ラスティーニャックの心の変化を追いながら、以下の点について考えてみましょう。
* ラスティーニャックはなぜ出世を望むのか?
* 彼はどのような過程を経て、冷酷な人間へと変貌していくのか?
* 彼の選択は正しいと言えるのか?
「ゴリオ爺さん」は、人間の欲望と愛憎、社会の矛盾を描き出した、重厚で深みのある作品です。さまざまな角度から作品を読み解くことで、バルザックの文学世界をより深く味わうことができるでしょう。