バタイユの呪われた部分の対称性
対称性と非対称性
バタイユにおいて、対称性は均質で静的な秩序を、非対称性は異質で動的な過剰をそれぞれ象徴する。彼は、西洋思想が伝統的に対称性を重視し、非対称性を排除しようとしてきたと批判する。バタイユは、理性や有用性といった対称的な原理によって抑圧された非対称的な過剰こそが、人間の生の根源的な力であると主張する。
呪われた部分における対称性の転覆
『呪われた部分』は、対称性の体系的な転覆を試みる作品である。バタイユは、エロティシズム、暴力、死といった、社会的にタブーとされてきたテーマを扱い、それらが理性や秩序といった対称的な原理によって排除できない過剰として存在することを明らかにする。
身体の対称性と非対称性
バタイユは、人間の身体自体が対称性と非対称性のせめぎ合いから成り立っていると指摘する。身体は一見対称的な構造を持つが、内部には消化器官や排泄器官といった非対称的な要素が存在する。彼は、これらの非対称的な要素が、身体の内部で絶えず過剰を生み出し、対称的な秩序を脅かしていると主張する。
言語における対称性と非対称性
バタイユは、言語もまた対称性を基盤としながら、同時に非対称性を内包していると考える。言語は、意味を固定し、秩序を構築する役割を持つが、同時に隠喩やメトニミーといった、意味の逸脱や転移を生み出す力も秘めている。彼は、言語の非対称的な側面を強調することで、既存の秩序を揺さぶり、新たな意味を生み出そうとする。