バタイユのニーチェについての原点
ニーチェとの出会い
バタイユがニーチェの著作に初めて触れたのは、1923年から1924年にかけてのことだと言われています。この時期、バタイユは国立図書館に通い、哲学書を乱読していました。そこで手に取ったのが、ニーチェの著作集でした。
初期の影響
ニーチェの思想は、当時のバタイユに大きな衝撃を与えました。特に、理性や道徳といった近代社会の価値観を根底から覆そうとするニーチェの思想は、バタイユ自身の内面に抱えていた閉塞感や虚無感と共鳴しました。
バタイユの初期の著作である『ニーチェ体験』(1945年)には、ニーチェから受けた影響が色濃く表れています。この作品の中でバタイユは、ニーチェを「不可能の可能性の思想家」と呼び、その思想の持つ破壊的な力に共感しています。
独自の解釈
バタイユは、ニーチェの思想をそのまま受け入れたわけではありませんでした。彼は、ニーチェの思想を独自の視点から解釈し、自らの思想へと発展させていきました。
例えば、ニーチェの「力への意志」という概念は、バタイユによって「蕩尽」という概念へと展開されました。また、ニーチェの「超人」という概念は、バタイユによって「主権的な個人」という概念へと発展されました。
生涯にわたる影響
ニーチェの思想は、バタイユの生涯にわたって大きな影響を与え続けました。バタイユは、ニーチェの思想を批判的に継承しながら、独自の思想体系を構築していきました。
彼の代表作である『エロティシズム』(1957年)や『至高性体験』(1955年)など、後期の著作にもニーチェの影響は色濃く見られます。