## バタイユのニーチェについてと時間
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ニーチェの影響
バタイユは、ニーチェから多大な影響を受けた思想家の一人として知られています。とりわけ、ニーチェの著作『道徳の系譜』における、キリスト教の道徳観に対する批判は、バタイユ自身の思想、特に「聖なるもの」や「エロティシズム」といった概念に大きな影響を与えました。
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時間に対する態度:ニーチェとバタイユ
ニーチェは、時間を直線的、進歩的なものと捉える西洋的な時間観に対して、独自の視点、すなわち「永劫回帰」の思想を提示しました。「永劫回帰」とは、過去から未来へと一直線に進むのではなく、同一のものが永遠に繰り返し現れるという考え方です。ニーチェは、この「永劫回帰」という概念を通して、瞬間瞬間を最大限に生きることの重要性を説きました。
一方、バタイユは、ニーチェの時間に対する態度を独自の解釈で発展させました。バタイユは、人間の根本的な経験として「連続性」と「断絶性」という二つの側面を挙げます。連続性とは、時間や理性によって規定される、社会的な自我のあり方です。一方、断絶性とは、時間や理性から解放された、祝祭やエクスタシーといった非日常的な経験における、自己の喪失と再生の瞬間を指します。
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「消費」における時間
バタイユは、ニーチェの「永劫回帰」の思想を踏まえつつ、時間と「消費」の関係について考察しました。バタイユにとって「消費」とは、単なる物質的な消費だけでなく、時間やエネルギーの浪費をも含む、より広義な概念です。彼は、人間の根本的な欲求として、有限な時間やエネルギーを、非生産的な活動、例えば、祭礼、芸術、あるいは性的な行為などに浪費したいという衝動があると主張しました。
バタイユは、この非生産的な消費こそが、人間を時間や理性といった制約から解放し、生の充実感をもたらすと考えました。この点において、バタイユは、瞬間瞬間を最大限に生きることの重要性を説いたニーチェの影響を受けていると言えるでしょう。