バクーニンの神と国家の話法
神と国家におけるバクーニンの論法
バクーニンの主著『神と国家』は、未完の作品ながらも、彼の思想の核心を最もよく表しているといえます。この作品は、1871年のパリ・コミューンでの経験を踏まえ、国家と宗教に対する痛烈な批判を展開しています。
反形而上学と唯物史観
バクーニンは、ヘーゲルの影響を受けながらも、その唯心論を批判し、唯物論的な歴史観を主張しました。彼にとって、歴史は観念の展開ではなく、物質的な条件と人間の活動によって形作られるものでした。
国家の批判
バクーニンは、国家を「少数の支配者が大多数の人々を搾取するための道具」と見なし、そのあらゆる形態を否定しました。彼にとって、国家は本質的に抑圧的で、個人の自由を阻害するものでした。
宗教批判
バクーニンは、宗教を「人間の無力さから生まれた幻想」とみなし、国家と同様に個人の自由を奪うものとして批判しました。彼にとって、神への服従は、人間自身の可能性を否定することでした。
無政府主義の主張
バクーニンは、国家や宗教などのあらゆる権威を否定し、「個人の自由と平等」を基礎とした無政府主義社会の実現を訴えました。彼にとって、真の自由とは、外部からの強制ではなく、個人の自発的な意志に基づくものでした。
革命論
バクーニンは、既存の国家権力を打倒し、無政府主義社会を実現するためには、暴力革命が不可避であると考えました。彼は、民衆の自発的な蜂起による革命を重視し、組織化された前衛党による革命を批判しました。