## バクーニンの神と国家の価値
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価値1:国家権力への批判
ミハイル・バクーニンの『神と国家』は、国家権力に対する痛烈な批判を展開した著作として、19世紀後半のアナキズム思想に多大な影響を与えました。バクーニンは、国家を支配階級が人民を搾取するための暴力装置とみなし、いかなる形態の国家も最終的には個人の自由を奪うものと断定しています。
書中では、国家が宗教や道徳、法律などを利用して人々の思考を支配し、服従を強要する様子が克明に描かれています。バクーニンは、こうした国家による支配の構造を暴き出すことで、真の自由と平等を実現するためには、国家の完全な abolition(廃絶)が必要であると主張しました。
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価値2:無政府主義思想の体系化
『神と国家』は、バクーニンの思想の根幹をなす無政府主義(アナキズム)の原則を体系的に解説した著作としても高く評価されています。バクーニンは、国家による強制力ではなく、個人の自由と自発的な協力に基づいた社会の構築を構想しました。
彼は、人間は本質的に理性と協調性を備えた存在であり、外部からの強制力がなくとも、自発的に秩序を形成し、互いに協力し合うことができると信じていました。バクーニンは、この考えに基づき、国家に代わる社会組織として、自由な個人の結合による共同体や連盟による社会のあり方を提示しています。
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価値3:現代社会への問題提起
『神と国家』は、執筆から100年以上を経た現代社会においても、依然として重要な問題提起を含む作品として読み継がれています。国家による監視の強化、情報統制、経済格差の拡大など、現代社会はバクーニンの時代に比べて、新たな形態の支配と抑圧に直面しています。
バクーニンの思想は、現代社会における権力構造や自由と平等、個人の尊厳といった普遍的な問題について、改めて深く考えさせる契機を与えてくれます。