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ハーヴェイの資本の限界の関連著作

ハーヴェイの資本の限界の関連著作

マルクスの『資本論』

デヴィッド・ハーヴェイの「資本の限界」は、カール・マルクスの『資本論』の影響を大きく受けています。ハーヴェイ自身もこの著作を「マルクス主義の観点からの資本主義の空間性と時間性の考察」と位置づけています。具体的には、『資本論』で展開される以下の概念が「資本の限界」に色濃く反映されています。

* **資本蓄積の矛盾**: マルクスは、『資本論』の中で、資本主義経済が内包する矛盾、特に資本蓄積の矛盾を分析しました。利潤率の傾向的低下の法則はその代表的なものであり、資本家は利潤追求のために絶えず生産性を向上させようとしますが、その結果として労働者の相対的な貧困化が進行し、最終的には資本主義システム自体を崩壊に導くとマルクスは論じました。ハーヴェイは、このマルクスの分析を継承し、現代資本主義における過剰蓄積の問題や金融化の傾向などを考察しています。

* **空間と時間の弁証法**: マルクスは、資本主義の分析において、空間と時間の概念を重視しました。資本主義は、絶えず新たな市場や資源を求めて世界中に拡大していくシステムであり、その過程で空間的な不平等や搾取を生み出します。また、資本主義は時間に対しても独自の論理を押し付け、労働を細分化し、効率性を追求することで、人間の生活時間までもが資本に支配されるようになるとマルクスは指摘しました。ハーヴェイは、マルクスのこの視点を空間と時間の地理学という枠組みの中で発展させ、現代資本主義の空間的・時間的な複雑さを分析しています。

* **階級闘争**: マルクスにとって、資本主義社会を理解する上で欠かせないのが階級闘争という概念です。資本家階級と労働者階級という対立する利害を持つ二つの主要な階級が存在し、彼らは生産手段の所有をめぐって絶えず対立・闘争を繰り広げているとマルクスは分析しました。ハーヴェイは、現代社会における階級闘争の形態は、マルクスの時代とは大きく変化していることを認めながらも、依然として資本と労働の対立構造は資本主義の根幹に関わる問題であることを強調しています。

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