ハリントンのオシアナ関連著作
トマス・モアの「ユートピア」 (1516年)
トマス・モアの「ユートピア」は、「オシアナ」と同様に、理想的な社会を描写した作品として、ハリントンに大きな影響を与えました。
* **共通点:** 両作品とも、当時の社会問題に対する批判を孕み、架空の理想社会を提示することで、現実社会の改善を促すという点で共通しています。私有財産の廃止、平等主義、宗教的寛容といったテーマも両作品に共通して見られます。
* **相違点:** 「ユートピア」は、語り手ヒュスローデウスと航海者ヒュトラデイウスの対話形式で語られるのに対し、「オシアナ」は、オシアナという国の憲法と歴史を詳細に記述する形式をとっています。「ユートピア」が共同体的な生活を重視する一方、「オシアナ」は個人の自由と財産のバランスを重視している点も対照的です。
ジェームズ・ハリントンの他の著作
ハリントンは「オシアナ」以外にも、政治思想や共和制に関する著作を残しています。
* **「政治的アフォリズム」 (1659年):** 「オシアナ」の執筆前に発表された、ハリントンの政治思想の要約と言える作品です。土地所有の制限や政教分離など、「オシアナ」で展開される構想の基礎となる考え方が示されています。
* **「古代の道における王権の限界」 (1681年):** 共和制と君主制の歴史を分析し、共和制の優位性を論じた作品です。古代ローマの政治制度を理想的なモデルとして提示し、イギリスの政治改革の必要性を訴えました。
これらの著作は、「オシアナ」と合わせて読むことで、ハリントンの政治思想への理解を深めることができます。ハリントンの思想は、その後のイギリスの政治思想、さらにはアメリカ独立革命にも影響を与えたと言われています。