## ハリントンの「オシアナ」の美
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構成の美
「オシアナ」は、一見複雑な政治体制を描いているように見えて、その根幹は驚くほどシンプルで明快な構造を持っています。それは、土地の所有と議会の構成を巧みに結びつけた、ハリントンの卓越した設計の賜物と言えるでしょう。
まず、土地所有の上限を設定することで、一部の特権階級による権力の集中を抑制しています。そして、国民を土地所有の規模に応じて分類し、それぞれの階層に比例代表制に基づいた議席を与えることで、広範な国民の意見が政治に反映される仕組みを作り上げました。
このような構成は、当時のイギリスで主流であった君主制や貴族制とは一線を画すものであり、近代共和制の思想の先駆的なモデルとして高く評価されています。
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言語の美
「オシアナ」の魅力は、その構成の美しさだけにとどまりません。ハリントンは、自身の理想とする政治体制を、洗練された比喩表現や巧みな言葉遣いを駆使して描き出しています。
例えば、複雑な政治機構の説明に、航海や船舶の用語を巧みに取り入れることで、読者に具体的なイメージを抱かせながら、スムーズな理解を促しています。これは、当時隆盛を極めていたイギリスの海洋国家としてのアイデンティティを反映しているとも解釈できます。
また、随所に散りばめられた格言や警句の数々は、単なる政治理論を超えた、普遍的な人間洞察を感じさせるものであり、時代を超えて読者の心を捉えています。