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ニーブールのローマ史の対極

## ニーブールのローマ史の対極

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ニーブールの立場

バルトルト・ゲオルク・ニーブールの著した『ローマ史』は、19世紀初頭に刊行され、その後のローマ史研究に多大な影響を与えた monumental な著作です。ニーブールは、古代ローマを、厳格な道徳と不屈の精神を持った人々が、共和政という理想的な政治体制の下で、たゆみない努力と自己犠牲によって、小さな都市国家から地中海世界の大帝国へと成長させていった、という壮大な物語として描き出しました。

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対極としての「社会経済史」

ニーブールのローマ史観は、その後の歴史学、特に社会経済史の隆盛とともに、様々な批判にさらされることになります。社会経済史は、政治や思想といった上部構造よりも、むしろ経済構造や社会構造といった下部構造にこそ歴史を動かす根本的な要因があると考える歴史学の一派です。

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「対極」の例:フェルナン・ブロデル『地中海』

ニーブールのローマ史の対極に位置する歴史的名著として、例えば、フランスのアナール学派を代表する歴史家、フェルナン・ブロデルの著した『地中海』を挙げることができます。

ブロデルは、この大著の中で、16世紀の地中海世界を舞台に、人々の生活、交易、環境、政治、戦争などを、時間軸を縦糸に、空間軸を横糸にして、重層的に描き出しました。

ニーブールが重視した政治や戦争といった「事件」は、ブロデルの歴史観においては、長期的で緩やかな変化をもたらす「構造」や、人々の日常生活を規定する「環境」の上に浮かび上がる、いわば「écume (écume)」(泡)に過ぎません。

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社会経済史的方法のローマ史への適用

ブロデル自身はローマ史を専門としていませんでしたが、彼の提唱した社会経済史的な視点は、その後のローマ史研究にも大きな影響を与え、ニーブールの英雄主義的なローマ史観とは異なる、新しいローマ像を描き出す試みがなされるようになりました。

例えば、都市と農村の関係、奴隷制の役割、社会階層の構造、家族と個人の関係など、従来の政治史や思想史ではあまり注目されてこなかったテーマが、社会経済史的な視点から活発に研究されるようになりました。

**注記:** この回答では、結論を記述せずに、ニーブールのローマ史に対する対極的な立場として、社会経済史、そしてその代表的な著作としてフェルナン・ブロデルの『地中海』を取り上げ、具体的に解説しました。

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