## ニーブールのローマ史の入力と出力
入力
バルトホルト・ゲオルク・ニーブールが「ローマ史」を著すにあたって用いた資料・情報源は、彼自身の時代(19世紀初頭)に入手可能な、古代ローマに関する膨大な量の史料や先行研究でした。具体的には、
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**古代の文献:** リウィウス、タキトゥス、ポリュビオス、プルタルコスといった古代ローマの歴史家や作家の著作が挙げられます。ニーブールはこれらの文献を批判的に読み解き、その信憑性を吟味しながら、史実の再構成を試みました。
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**碑文やコイン:** 碑文やコインに刻まれた文字や図像は、当時の政治、社会、文化を理解する上で貴重な資料となります。ニーブールはこれらの考古学的資料も積極的に活用しました。
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**先行研究:** ニーブールは、自身の研究に先駆けて行われたローマ史研究の成果も参照しました。ただし、彼は既存の解釈を鵜呑みにするのではなく、独自の視点からローマ史を捉え直そうとしました。
出力
ニーブールの「ローマ史」は、古代ローマの建国から紀元前218年のハンニバル戦争勃発までの歴史を扱った、3巻からなる大著です。
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**史料批判:** ニーブールは、古代の文献の信憑性を厳しく吟味し、史料の取捨選択に細心の注意を払いました。彼は、伝説や伝承を排除し、可能な限り一次史料に基づいた客観的な歴史記述を目指しました。
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**政治史中心:** 彼の「ローマ史」は、政治的事件や制度の変遷を中心に叙述されています。これは、ニーブールがローマ史を、共和政の成立と発展という視点から捉えていたことを示しています。
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**客観性と冷徹な分析:** ニーブールは、感情的な表現を抑制し、冷静かつ客観的な筆致でローマ史を記述しました。彼は、英雄や偉人の業績を称賛するのではなく、歴史的事実を淡々と描き出すことに徹しました。
ニーブールの「ローマ史」は、その学問的な厳密さと洞察力の深さから、19世紀の歴史学に多大な影響を与え、古代ローマ史研究の金字塔として、今日でも高く評価されています。