## ニーチェの道徳の系譜からの学び
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道徳の起源と歴史性
ニーチェは、従来の哲学が前提としてきたような、永遠不変の道徳的真理というものは存在しないと主張します。「道徳の系譜」においてニーチェは、道徳がどのように生まれ、歴史的にどのように変化してきたのかを、従来の道徳哲学とは全く異なる視点から考察していきます。
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善悪の価値転換
ニーチェは、現代社会において支配的な「善悪」の基準が、本来は力関係から生まれたものであると喝破します。本来、力強く、貴族的な人々は、自らを「善」とみなし、逆に、弱く、卑しい人々を「悪」とみなしていました。しかし、後になって、ユダヤ教やキリスト教の影響などによって、弱者の価値観が優位になり、「善悪」の基準が逆転してしまったとニーチェは分析します。
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ressentiment(ルサンチマン)
ニーチェは、弱者が強者に対して抱く、ねたみや恨みといった感情を「ルサンチマン」と呼び、これが奴隷道徳を生み出す元凶であると分析します。ルサンチマンに駆られた弱者たちは、自分たちの弱さを正当化するために、強者の価値観を逆転させ、自分たちの価値観こそが「善」であると主張するようになるのです。