ドストエフスキーの罪と罰を面白く読む方法
1. 予備知識は最小限に抑え、「推理小説」を読むつもりでページをめくる
「罪と罰」と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか? 分厚い本、難解なロシア文学、重苦しいテーマ…そんなイメージが先行して、読む前から身構えてしまうかもしれません。
しかし、いったん先入観は脇に置いて、この作品を「謎解きの物語」として読んでみましょう。
主人公ラスコーリニコフは老婆を殺害しますが、作品はそこから始まります。
つまり、誰が殺したのか?という謎解きではなく、「なぜ殺したのか?」「彼はその後どうなるのか?」という、より深い謎に読者は巻き込まれていくのです。
事件の動機や、逃亡、苦悩、そして彼を取り巻く様々な人物との関係性を通して、複雑に絡み合った謎が少しずつ明らかになっていきます。
ページをめくるごとに深まる謎に、あなたも探偵になったような気持ちで読み進めていくことができるはずです。
2. 登場人物たちの「心の声」に耳を傾ける
「罪と罰」の魅力の一つは、ドストエフスキーの巧みな心理描写です。
彼は登場人物たちの心の奥底に潜む葛藤や不安、希望や絶望を、まるで顕微鏡で覗き込むように描き出します。
例えば、主人公ラスコーリニコフ。
彼は貧困から殺人を犯しますが、その心は罪悪感と不安にさいなまれ続けます。
彼の独白は、人間の心の奥底にある闇と光を、鮮烈に浮かび上がらせます。
登場人物たちの心の声に耳を傾けることで、単なる物語を超えた、人間の深淵に触れるような読書体験ができるはずです。
「もしも自分が同じ立場だったら…」と想像しながら読んでみると、より深く作品に感情移入できるでしょう。
3. 舞台である19世紀のサンクトペテルブルクを旅する
「罪と罰」の舞台となる19世紀のサンクトペテルブルクは、貧困、犯罪、そして社会の矛盾が渦巻く混沌とした都市として描かれています。
主人公ラスコーリニコフがさまよう路地裏、ネヴァ川の風景、登場人物たちが集う酒場…
当時の街並みや人々の様子を想像しながら読み進めると、物語はよりリアルに感じられるはずです。
インターネットで当時のサンクトペテルブルクの絵画や写真を検索してみるのも良いでしょう。
視覚的にイメージを膨らませることで、まるで自分が物語の世界に迷い込んだような、より臨場感のある読書体験ができるはずです。
4. 現代社会とのつながりを探す
「罪と罰」は19世紀のロシアを舞台にした作品ですが、そこで描かれる人間の心の葛藤や社会との矛盾は、現代社会にも通じる普遍的なテーマです。
貧困、格差、犯罪、倫理…
物語を読み進めながら、現代社会と重ね合わせて考えてみてください。
例えば、ラスコーリニコフの犯した罪は、現代社会ではどのように裁かれるでしょうか?
彼の抱える苦悩は、現代人にも共通するものではないでしょうか?
作品を通して、現代社会の抱える問題や、人間の倫理観について深く考えるきっかけが得られるはずです。