## ドストエフスキーの白夜と時間
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時間の流れの歪み
「白夜」では、現実の時間と主人公の内的時間の流れ方が異なっていることが随所に描かれています。例えば、ナスターシャとの出会いや橋の上での再会など、重要な出来事が起こる時間はわずか四日間という短期間です。しかし、主人公の内的体験としては、ナスターシャへの愛の告白、二人の未来に対する希望と絶望など、非常に濃密な時間が流れているように感じられます。
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白夜の持つ象徴性
白夜という現象自体が、通常の時間の流れを逸脱した非日常的な状況を象徴しています。白夜は太陽が沈まないため、昼と夜という時間の区切りが曖昧になります。これは、主人公がナスターシャと過ごす時間が、現実と夢の境界線が曖昧な、非現実的な時間として描かれていることに対応しています。
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反復される時間
主人公は、毎晩のように同じ道を歩き、同じ幻想に浸っています。これは、彼が過去の思い出や空想に囚われ、現実の時間から逃避していることを示唆しています。また、ナスターシャとの再会も、一年後の同じ日、同じ時間に約束されるなど、時間の反復性が強調されています。