ドストエフスキーの悪霊を読んだ後に読むべき本
アルベール・カミュ 異邦人
「悪霊」で描かれるニヒリズム、虚無主義、そして社会との断絶といったテーマは、カミュの「異邦人」にも通底するものです。「異邦人」の主人公ムルソーは、太陽の光や海の存在といった感覚的なものにしか意味を見出せない、現代社会における疎外された個人の象徴として描かれます。彼は母親の死に際しても感情を表に出さず、そのことが社会から「異邦人」として烙印を押される原因となります。
ムルソーの行動は、既存の道徳や価値観を破壊しようとする「悪霊」の登場人物たちの行動と重なる部分があります。どちらも社会通念から逸脱し、周囲との断絶を生み出す点で共通しています。しかし、ムルソーは「悪霊」の登場人物たちのように積極的に社会と対峙するのではなく、あくまでも受動的な態度を貫きます。
「悪霊」を読了後、「異邦人」を読むことで、ニヒリズムや社会との断絶といったテーマを異なる角度から見つめ直すことができます。ムルソーの受動的な態度は、「悪霊」の登場人物たちの行動とは対照的に描かれ、読者にそれぞれの生き方について深く考えさせるでしょう。