## ドゥオーキンの権利論の対称性
ドゥオーキンにおける権利の対称性
ロナルド・ドゥオーキンは、その代表作である『Taking Rights Seriously』において、自由主義的な権利論を展開しました。彼の権利論の特徴の一つに、「権利の対称性」という概念への強いこだわりがあります。ドゥオーキンは、個人の権利は、国家や他の個人に対して、ある特定の行為を要求したり、禁止したりする「切り札」として機能すると主張します。
対称性の具体例：言論の自由と信教の自由
この対称性を理解する上で、具体的な例として「言論の自由」と「信教の自由」を比較してみましょう。ドゥオーキンによれば、言論の自由は、個人が自身の意見や思想を表明する権利を保障するものです。この権利は、国家や他の個人が、たとえその意見に反対であったとしても、その表明を妨げることを禁じる「切り札」として機能します。
同様に、信教の自由も、個人が自身の宗教的信念に基づいて行動する権利を保障する「切り札」として機能します。 たとえ他の多くの人々がその宗教的実践に反対であったとしても、国家や他の個人は、正当な理由なくその実践を妨げることはできません。
対称性の重要性：少数派の権利保護
ドゥオーキンは、この権利の対称性が、特に少数派の権利保護において重要であると主張します。 なぜなら、もし権利が単なる政策上の考慮事項に過ぎないとすれば、多数派の利益のために簡単に犠牲にされてしまう可能性があるからです。 しかし、権利が「切り札」としての地位を持つ場合、たとえそれが少数派の権利であろうとも、容易に無視することはできなくなります。