## トルストイのアンナ・カレーニナの美
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アンナ・カレーニナの外面の美
アンナは作中で繰り返し、その美しさについて言及される登場人物です。
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彼女の登場シーンでは、「
彼女は部屋に入るとすぐ、ペテルブルグのあらゆる社交界ですでに認められていたとおり、その美しさで皆の目を釘付けにした
」と描写され、その美貌が際立っていたことがわかります。
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キティでさえ、アンナの美しさに圧倒され、「
この顔立ちの美しさは、きっと今まで見たことがないほどだ
」と感嘆の声を漏らします。
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舞踏会でのアンナは、ヴロンスキーだけでなく、多くの男性を魅了し、「
黒のドレスを着たアンナは、非の打ち所がないほど美しかった
」と描写されています。
このように、トルストイはアンナの外面の美しさを、周囲の人々の反応を通して具体的に表現しています。
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アンナの美が放つ魅力
アンナの美しさは、周囲の人々を惹きつける磁力のような魅力を持っています。
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キティは、ヴロンスキーがアンナに夢中になる理由を、「
あの人(アンナ)には、彼女をとりまく一種の魅力的な雰囲気のようなものがある
」と分析しています。
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アンナ自身も、自分の美しさが持つ力を自覚しており、「
私は自分の美しさが好きなの。私の美しさは人々の心をとりこにする力を持っている
」と語っています。
アンナの美は、単なる外面的な美しさではなく、周囲の人々を惹きつける、ある種の魔力のような力を持っていることがわかります。
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内面から溢れ出す美しさ
アンナの魅力は、外面的な美しさだけにとどまりません。
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レヴィンは、アンナの「
顔の輝き
」に注目し、それは「
心の活力の表れ
」であると解釈します。
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ヴロンスキーは、アンナの「
偽りのない誠実さ
」に惹かれ、それが彼女の美しさをより一層引き立てていると感じています。
このように、トルストイは、アンナの外面的な美しさだけでなく、彼女の心の輝きや誠実さといった内面的な美しさも描写することで、アンナの魅力を多面的に表現しています。
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美しさの束縛と悲劇
しかし、アンナの美しさは、彼女の人生に影を落とすものでもありました。
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アンナは、自分の美貌によって、社交界という窮屈な世界に縛り付けられていると感じています。
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また、ヴロンスキーとの恋においても、彼女の美しさは、周囲からの好奇の目や嫉妬の対象となり、2人の関係を苦しめる一因となります。
トルストイは、アンナの美しさが、彼女の人生に喜びと同時に、苦悩や悲劇をもたらすものであることを示唆しています。