## トルストイの「復活」からの学び
社会の偽善
「復活」では、貴族社会の道徳的退廃が克明に描かれています。裕福な人々は、表面上は慈善や信仰心を装いながらも、実際には自己中心的で虚栄に満ちた生活を送っています。トルストイは、彼らの偽善的な行動を鋭く批判し、真の道徳と正義とは何かを問いかけています。
例えば、主人公ネフリュードフは、かつて自分が誘惑した女性カチューシャが、自分のせいで不幸な人生を送っていることを知り、罪の意識に苛まれます。彼は彼女を救おうとしますが、貴族社会の価値観や慣習に阻まれ、苦悩します。
贖罪と愛
ネフリュードフは、カチューシャとの再会を通して、自身の過去の罪と向き合い、贖罪を求めるようになります。彼は、物質的な豊かさや社会的地位よりも、精神的な救済と愛こそが重要であることに気づき始めます。
一方、カチューシャは、ネフリュードフの裏切りによって深い傷を負いながらも、彼に対して憎しみを抱き続けることはできません。彼女は、ネフリュードフの献身的な愛と償いの気持ちを感じ取り、彼を許す道を探ります。
社会制度への批判
「復活」では、当時のロシアの司法制度や刑務所制度の腐敗も描かれています。ネフリュードフは、カチューシャの裁判を傍聴する中で、法律が必ずしも正義を実現するとは限らないこと、むしろ権力者によって都合よく利用されていることに気づき、憤りを覚えます。
彼はまた、流刑囚としてシベリアへ向かうカチューシャに同行する中で、過酷な環境や非人道的な扱いに苦しむ人々の姿を目の当たりにします。トルストイは、このような社会の矛盾や不条理を告発し、改革の必要性を訴えています。