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デュルケームの宗教生活の原初形態が扱う社会問題

## デュルケームの宗教生活の原初形態が扱う社会問題

社会の起源と統合の問題

デュルケームは、近代社会における個人主義の台頭と伝統的な社会紐帯の弱体化という社会問題を深く憂慮していました。彼は、社会がどのように成立し、人々がどのようにして共通の価値観や規範のもとでまとまり、秩序を維持しているのかという根源的な問いに向き合いました。そして、その答えを見出すために、宗教という人類史において普遍的に見られる現象に注目しました。

宗教経験の社会的基盤

デュルケームは、『宗教生活の原初形態』において、オーストラリア先住民のトーテミズムを分析することで、宗教の起源と社会の起源を結びつけようと試みました。彼は、トーテミズムにおける儀礼や信仰対象であるトーテムが、氏族や社会集団そのものを象徴していると解釈しました。つまり、人々は神や精霊ではなく、社会そのものを崇拝しているのだと考えたのです。

集団的熱狂と社会の結束

トーテミズムの儀礼において、人々は集団で歌い、踊り、興奮状態に陥ります。デュルケームは、この集団的熱狂こそが、個人を超えた力を持つ「聖なるもの」の感覚を生み出し、人々の社会に対する帰属意識を高めていると論じました。そして、この「聖なるもの」への畏敬の念こそが、社会の道徳規範や価値観の基盤となり、人々の行動を規範し、社会秩序を維持していると考えたのです。

宗教の社会的機能

デュルケームは、宗教が単なる迷信や非合理的な信仰ではなく、社会を統合し、人々に共通の価値観や規範を植え付ける重要な役割を果たしていると論じました。彼は、近代社会においても、宗教の形態は変化するものの、その社会的機能は依然として重要であると考えていました。

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