## デュマの王妃マルゴの対称性
登場人物の対称性
「デュマの王妃マルゴ」には、複数の対称的な関係を持つ登場人物が描かれています。
* **マルゴとアンリ:** マルゴとアンリは、カトリックとプロテスタントという対立する宗教勢力の象徴でありながら、互いに惹かれ合うという複雑な関係にあります。
* **シャルル九世とアンリ:** シャルル九世とアンリは、兄と弟という血縁で結ばれながらも、王位とマルゴをめぐって対立します。
* **コニーとラ・モール:** コニーはマルゴの侍女であり、ラ・モールはアンリの忠実な部下です。彼らは主人たちへの忠誠心と、それぞれの立場から物語に関わっていきます。
プロットにおける対称性
物語の構成にも、いくつかの対称性が見て取れます。
* **サン・バルテルミの大虐殺:** 物語の中心となるこの事件は、カトリックとプロテスタントの対立が頂点に達した瞬間を描写しており、物語全体を二分する役割を担っています。
* **冒頭と結末:** 物語は、マルゴとアンリの政略結婚で始まり、最終的にはアンリが王位に就き、マルゴと別れるところで終わります。これは、フランス王室の不安定さと、宗教対立の終焉を象徴しているとも言えます。
モチーフの対称性
作品全体を通して、いくつかのモチーフが対称的に描かれています。
* **愛と憎しみ:** 愛と憎しみは表裏一体のものであり、登場人物たちの行動の根底には常にこの両方の感情が複雑に絡み合っています。
* **善と悪:** 「デュマの王妃マルゴ」には、善悪を明確に区別できる人物はほとんど登場しません。登場人物たちはそれぞれの正義に基づいて行動し、その結果として善行と悪行の両方が生まれていきます。
* **光と影:** 宮廷の華やかさと陰謀渦巻く闇、登場人物たちの高潔さと残酷さなど、光と影が対比的に描かれることで、物語に深みを与えています。