デュマの王妃マルゴの位置づけ
デュマの作品における位置づけ
アレクサンドル・デュマ・ペールの小説群において、「王妃マルゴ」は「ヴァロワ朝年代記」と呼ばれる歴史小説シリーズの第1部を飾る作品です。このシリーズは、16世紀後半のフランスを舞台に、ヴァロワ朝最後の王アンリ3世とその弟アンジュー公アンリ、そしてナバラ王アンリ(後のアンリ4世)といった実在の人物を織り交ぜながら、宗教戦争の渦中に巻き起こる愛憎劇を描いています。
史実との関係性
「王妃マルゴ」は史実を基にしてはいますが、デュマ独自の脚色が多分に見られます。例えば、マルゴとラ・モールのロマンスは、史実では確認されていません。また、サン・バルテルミの虐殺における登場人物たちの行動や心理描写も、デュマの創作による部分が大きいと言えます。
登場人物像
「王妃マルゴ」には、歴史上の人物をモデルにした魅力的な登場人物が数多く登場します。
* **マルグリット・ド・ヴァロワ(王妃マルゴ)**: カトリック教徒の王女でありながら、プロテスタントに寛容な心の持ち主。政略結婚の道具として翻弄されながらも、運命に立ち向かう強さを持つ。
* **シャルル9世**: 病弱で精神的に不安定なフランス国王。母親のカトリーヌ・ド・メディシスに操られ、サン・バルテルミの虐殺を引き起こす。
* **アンリ・ド・ナヴァール**: 後のフランス国王アンリ4世。プロテスタントの指導者としてカトリック勢力と対立するが、持ち前の機転と勇敢さで危機を乗り越えていく。
テーマ
「王妃マルゴ」は、愛と憎しみ、宗教対立、権力闘争といった普遍的なテーマを扱っています。特に、サン・バルテルミの虐殺を背景に、宗教的対立の愚かしさとその犠牲になる人々の悲劇を描いている点が特徴です。
影響
「王妃マルゴ」は、発表当時から大好評を博し、その後も何度も映画化や舞台化がされています。歴史小説の傑作として、現代でも広く読まれ続けています。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。