## デュマのモンテ・クリスト伯と時間
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時間の流れと構成
「モンテ・クリスト伯」は、大きく分けてエドモン・ダンテスの投獄期間と、脱獄後の復讐劇という二つの時間軸で進行します。前者は物語の導入部を担い、後者は物語の大部分を占めます。
ダンテスの投獄期間は14年間に及びます。この間、彼は絶望の淵に突き落とされながらも、ファリア司祭との出会いを経て、知識と復讐心を蓄積していきます。この期間は、ダンテスの人格形成において重要な役割を果たすと同時に、物語全体の伏線となっています。
脱獄後、ダンテスはモンテ・クリスト伯爵と名乗り、自分を陥れた者たちへの復讐を実行していきます。復讐劇は綿密に計画され、長い年月をかけて実行されます。時間軸は数年間に渡り、その中で登場人物たちの関係性や社会的地位は大きく変化していきます。
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時間と復讐
モンテ・クリスト伯にとって、時間は復讐のための重要な武器となります。彼は、敵の弱点を突くために、時間をかけて彼らの信頼を得ていきます。また、時間経過によって敵の状況が変化することを計算し、復讐計画を進めていきます。
例えば、ダングラールに対しては、彼の浪費癖を利用し、時間をかけて財産を蕩尽させます。フェルナンに対しては、彼の過去の悪事を暴露することで、社会的信用を失墜させます。
モンテ・クリスト伯は、復讐のために時間を巧みに操りますが、同時に彼自身も時間によって苦しめられます。14年間の投獄は、彼から青春時代を奪い、愛する人との生活を不可能にしました。復讐を果たした後も、彼は失われた時間を取り戻すことはできません。
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時間の経過と変化
「モンテ・クリスト伯」は、時間経過によって登場人物たちがどのように変化するかを描いた作品でもあります。ダンテスは、無実の罪で投獄された青年から、復讐の鬼と化し、最終的には赦しを知るに至ります。
メルセデスは、ダンテスを待ち続けることを諦め、フェルナンと結婚しますが、後に後悔することになります。彼らの息子アルベールは、ダンテスと敵対しますが、後に彼の真実を知り、苦悩します。
このように、「モンテ・クリスト伯」に登場する人物たちは、時間の流れの中で様々な経験をし、変化を遂げていきます.