## デュマの「王妃マルゴ」とアートとの関係
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絵画の描写
デュマは「王妃マルゴ」の中で、具体的な絵画作品への言及はほとんどしていません。登場人物の外見や服装、舞台となる部屋の装飾について描写する際に、色彩や光と影の対比などを用いることで、絵画的なイメージを喚起しています。
例えば、王妃マルゴの美しさは、輝くようなブロンドの髪、透き通るような白い肌、燃えるような赤い唇といった対照的な色彩を駆使して描写されています。また、物語の舞台となるルーブル宮殿やその他の城館は、豪華なタペストリー、金銀細工、華麗な家具などが細やかに描写され、読者に鮮やかな視覚イメージを与えています。
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演劇との関連
「王妃マルゴ」は、発表当時から演劇作品として人気を博し、何度も舞台化されました。デュマ自身も戯曲の執筆に長けており、小説の構成や登場人物の造形において、演劇的な手法を意識していたと考えられます。
例えば、物語はサン・バルテルミーの虐殺という劇的な事件から始まり、愛憎劇、陰謀劇、活劇など、様々な要素が盛り込まれた展開を見せます。また、登場人物たちは、善悪が明確な類型的な人物造形がなされており、舞台上で観客に強い印象を与えるように設計されているかのようです。
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ロマン主義との繋がり
「王妃マルゴ」は、19世紀前半にフランスを中心に興隆したロマン主義の影響を強く受けています。ロマン主義は、感情や主観、想像力を重視し、歴史や異国情緒への憧憬を特徴とする芸術運動です。
デュマは、「王妃マルゴ」において、16世紀後半のフランスを舞台に、宗教対立や権力闘争といった歴史的事件を背景に、個性的な登場人物たちの愛と冒険を描きました。また、陰謀や復讐、超自然現象といった要素を織り交ぜることで、神秘的で幻想的な雰囲気を醸し出しています。これらの要素は、ロマン主義文学の特徴と共通しています。