デフォーのモール・フランダースの位置づけ
ダニエル・デフォーの作品における位置づけ
「モール・フランダース」は、1722年にダニエル・デフォーによって発表された小説です。これは、「ロビンソン・クルーソー」（1719）の成功に続く、デフォーの多作な作家活動における重要な作品です。 「ロビンソン・クルーソー」が男性の視点から語られる冒険物語であるのに対し、「モール・フランダース」は女性の視点から社会の矛盾や人間の欲望を描き出した、より複雑で野心的な作品として位置づけられます。
18世紀イギリス文学における位置づけ
「モール・フランダース」は、18世紀イギリス文学において、リアリズム小説の先駆的な作品として位置づけられます。当時の小説の多くは、騎士道物語や恋愛小説など、非現実的な内容が主流でした。一方、「モール・フランダース」は、貧困、犯罪、売春など、当時の社会問題をリアルに描写し、人間の欲望や社会の矛盾を鋭くえぐっています。 また、一人称視点で語られる物語は、主人公の心理描写を重視し、読者の共感を呼ぶことに成功しています。
ピカレスク小説としての位置づけ
「モール・フランダース」は、ピカレスク小説の伝統を受け継ぐ作品としても位置づけられます。ピカレスク小説とは、スペインで生まれた文学ジャンルで、悪漢小説とも呼ばれます。 主人公は、社会の底辺層出身のならず者で、盗みや詐欺などを繰り返しながら、たくましく生き抜いていきます。 「モール・フランダース」の主人公モールも、貧困から抜け出すために、様々な手段を講じます。 結婚と盗みを繰り返し、時には売春婦として身を落とすことも厭いません。 このようなモールのたくましい生き様は、ピカレスク小説の伝統を受け継ぐものと言えるでしょう。
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