デカルトの省察から得られるもの
懐疑と方法的疑念
デカルトの『省察』は、哲学の中でも認識論、特に知識の基盤に関する考察で知られています。デカルトは、それまで当然と思われていた知識を疑うことから始めます。彼は、感覚が私たちを欺くことがあること、夢と現実の区別がつかないことがあることなどを指摘し、感覚経験に基づく知識の不確かさを露呈します。
さらにデカルトは、「悪しき天才」という強力な存在を仮定します。この悪しき天才は、私たちを欺くことだけを目的としており、私たちの思考を操作して、たとえそれが誤っていても、真実であると信じ込ませることができるとされます。この強力な懐疑を通じて、デカルトは、数学的真理を含め、あらゆる知識を疑うに足る余地があることを示します。
しかし、デカルトはすべてを疑い続けるわけではありません。彼は、この徹底的な懐疑の過程において、疑っている「私」の存在だけは疑いようがないことに気づきます。「私は疑っている」ということは、「私は考えている」ということであり、「私は考えている」ということは、「私は存在する」ということを意味するからです。これが有名な「我思う、ゆえに我あり」という命題であり、デカルト哲学の出発点となります。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。