## テグジュペリの風、砂と星 の原点
テグジュペリの航空郵便パイロットとしての経験
アントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリは、1920年代後半から1930年代にかけて、フランスの航空会社、アエロポスタル社やその後身のエールフランス社で航空郵便パイロットとして活躍しました。彼は主にフランス領西アフリカと南アメリカを結ぶ路線を担当し、サハラ砂漠やアンデス山脈といった過酷な自然環境の中を、まだ性能の低い飛行機で飛行しました。
当時の航空郵便パイロットは、まさに命がけの仕事でした。テグジュペリ自身も幾度となく危険な目に遭っており、サハラ砂漠に墜落し、数日間生死の境をさまよった経験もあります。彼はこれらの経験を通して、自然の脅威、孤独、そして人間の勇気や友情といったテーマを深く考えるようになりました。
テグジュペリ自身の内面世界
「風、砂と星」には、テグジュペリ自身の内面世界が色濃く反映されています。孤独な飛行の中で見上げた星空や、広大な砂漠の風景は、彼に人生の深遠な問いを投げかけました。 また、幼少期の思い出や、飛行仲間との交流、そして戦争の影といった個人的な経験も、作品に深みを与えています。
テグジュペリが影響を受けた文学や思想
テグジュペリは、文学青年として知られており、様々な作品から影響を受けていました。特に、フランスの詩人・作家であるアンドレ・ジッドや、飛行家・作家であるジュール・ロマンの影響は大きく、「風、砂と星」にも彼らの作品に通じる人間主義や冒険精神を見出すことができます。