## スラッファの商品の商品による生産の対極
スラッファの『商品による商品の生産』は、マルクスの『資本論』を継承し、労働価値説に基づいて資本主義経済の分析を試みた革新的な著作です。特に、本書は均衡価格の決定における投入産出分析の手法を用いたこと、および資本主義経済における利潤と所得分配の問題に焦点を当てたことで知られています。
スラッファへの批判
スラッファの分析枠組みは、その後の経済学、特にポスト・ケインジアンやマルクス経済学に大きな影響を与えました。しかし、同時に、その理論的前提や分析方法に対しては、様々な批判も寄せられてきました。主な批判としては、以下の点が挙げられます。
* **現実の経済を抽象化しすぎている**:スラッファのモデルは、完全競争や規模の経済の不存在など、現実の資本主義経済とはかけ離れた仮定に基づいているという批判があります。
* **需要サイドの分析が欠如している**:スラッファは、生産面における技術的関係のみに焦点を当て、需要や消費といった要素を軽視しているという指摘があります。
* **歴史的・制度的要因を無視している**:スラッファの分析は、資本主義経済を普遍的な法則に支配されたシステムとして捉えており、具体的な歴史的・制度的要因を考慮に入れていないという批判があります。
スラッファの対極に位置する経済学
スラッファの『商品による商品の生産』の対極に位置する経済学は一概に断定できません。なぜなら、経済学は多様な理論的立場や分析方法から成り立っており、「対極」という概念自体が曖昧だからです。
しかし、あえて対極的な視点を挙げるとすれば、以下の様な経済学が考えられます。
* **オーストリア学派**:主観的価値論に基づき、市場メカニズムと個人の選択の自由を重視する。
* **新古典派経済学**:限界効用理論に基づき、需要と供給の相互作用による価格決定を重視する。
* **ゲーム理論**:戦略的状況下における意思決定を分析する。
これらの経済学は、スラッファとは異なる前提や方法論を採用しており、資本主義経済に対する見方も大きく異なります。しかし、どの経済学が「正しい」と断言することはできず、それぞれの理論的立場や分析方法には、それぞれ長所と短所があります。
重要なのは、特定の理論的立場に固執するのではなく、それぞれの理論の限界を認識した上で、現実の経済現象を多角的に分析することです。