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スピノザのエチカの対称性

## スピノザのエチカの対称性

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定義・公理の対称性

『エチカ』は、幾何学的秩序にならって、定義、公理、命題、証明という形式で書かれています。第一部「神について」は、定義と公理から出発し、神の存在と本質に関する命題を導き出します。この構成自体が、論理的な明晰さと厳密さを追求した結果であり、ある種の対称性を示しています。

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神と自然の対称性

スピノザは、神と自然を同一視します。第一部の定義で「自らのうちに存在的原因をもち、かつ、自らのうちに存在の必然性をもつもの」を「神」と定義し、さらに「それ自体において存在し、それ自体によってのみ考えられるもの」を「実体」と定義した上で、神は実体であり、自然もまた実体であると結論づけます。つまり、神と自然は異なる名称で呼ばれているだけで、実質的には同一の存在です。

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属性の対称性

スピノザは、「それぞれの属性によって一つの実体が構成される」と述べています。彼は、私たち人間が認識できる属性として「思考」と「延長」の二つを挙げていますが、これはあくまでも人間の認識能力の限界を示しているに過ぎず、実際には無限の属性が存在すると考えられています。それぞれの属性は、他の属性から独立しており、独自の因果関係を持つという点で対称的です。

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様態の対称性

様態は実体の変様であり、「有限な仕方で存在するもの」と定義されます。様態は、思考の属性における観念と、延長の属性における物体という二つの側面を持ちます。この二つの側面は、それぞれ異なる属性に属していますが、同一の様態の異なる表現に過ぎません。例えば、人間の精神と身体は、それぞれ思考と延長の様態ですが、同一の人間という様態の異なる側面に過ぎないのです。

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能動と受動の対称性

スピノザは、人間の感情を「能動」と「受動」に分類します。能動の感情は、人間の力が増大することから生じる喜びであり、受動の感情は、人間の力が減少することから生じる悲しみです。能動の感情は、理性的な認識に基づいており、受動の感情は、不完全な認識に基づいています。

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