スピノザのエチカの主題
神、すなわち自然
『エチカ』の中心主題は、神、すなわち自然と、人間の魂とのかかわりです。スピノザは、神と自然を同一視し、唯一の実体としています。この実体は、無限の属性を持つとされ、私たちが知覚できる思考と延長も、その属性の一部です。
人間の受動性と神の能動性
スピノザによれば、人間を含むすべてのものは、神の属性の様態にすぎず、それ自身の原因を持つことはできません。つまり、人間は自由意志を持たず、神の必然性によって決定されている受動的な存在です。一方、神は、他に依存することなく、自らの内在的原因によって存在し、作用する能動的な存在です。
感情と理性による自由への道
人間は受動的な存在ですが、スピノザは感情と理性を用いることで、より完全な認識と行動へと導かれる可能性を提示しています。私たちは、受動的な情念に支配されることから脱し、神の必然性を理解することで、能動的な感情へと移行し、真の自由を獲得することができます。
永遠の知的愛へ至る道筋
『エチカ』は、神への知的愛へと至る道筋を示すことを目的としています。理性を用いて神を理解することで、私たちは神への永遠の知的愛へと導かれ、真の幸福を得ることができるとスピノザは主張します。